コフナを用いた堆肥の作成方法およびそのポイントを紹介します。
良質の堆肥を作成に当って、下記の3点がポイントとなります。
1.原料
原料の種類は出来るだけ多くの種類の有機物を多く含むと、それぞれに応じて微生物が発生し、単純な微生物叢でなく、多種類の微生物叢が生まれます。その堆肥を投入することにより、土壌の微生物叢が多様になります。
2.炭素率
炭素率(C/N比)が高くなると分解にかかる時間が長くなります。また、単純にC/Nだけでなく、リグニン・セルロース・ヘミセルロースの割合により分解速度に変化が起こります。詳細については「有機物の炭素率」を参照下さい。
3.温度
堆肥を作成するにあたって、必ず温度が60℃以上になるように、原料・水分・環境を整えてください。堆肥の作成と称して、温度を上げず、乾燥だけの場合が有ります。その場合、病原菌が残り、雑草が生えることが有ります。また熟度が上がらず、散布した際植物に害を与える恐れがでてきます。
堆肥の作成の際、温度を上がらず、乾燥だけの場合が有ります。その場合、病原菌が残り、雑草が生えることが有ります。また熟度が上がらず、散布した際植物に害を与える恐れがでてきます。
堆肥に関する資料
1.有機物の炭素率
2.一般的な堆肥の作り方
3.モミガラ堆肥の作成方法
4.リグニン質を多く含む堆肥(バーク・おがくず等)の早期分解方法
5.牛糞のコフナの処理について
炭素率を調べただけでは、分解速度はわかりません。
分解速度は、炭素繊維中のセルロース・リグニンの割合によって変化します。

有機質資材の有機成分組成(乾物当り%)
T-C | T-N | O/N | 組デンプン | セルロース | リグリン | 組タンパク | |
パーク推肥 | 37.6 | 1.950 | 19.3 | 4.9 | 12.2 | 36.7 | 12.2 |
稲ワラ粉末 | 39.1 | 0.650 | 60.2 | 25.0 | 37.0 | 11.2 | 4.1 |
モミガラ | 40.1 | 0.541 | 74.1 | 16.3 | 41.9 | 20.6 | 3.4 |
小麦ワラ | 42.2 | 0.334 | 126.0 | 21.5 | 48.2 | 15.5 | 2.1 |
おがくず | 50.4 | 0.208 | 242.0 | 10.9 | 48.2 | 30.5 | 1.3 |
製紙かす | 40.6 | 0.290 | 140.0 | 6.8 | 55.2 | 15.3 | 1.8 |
T-C:全炭素 T-N:全窒素 C/N:炭素率

堆肥づくりのポイントは以下の3点です。
2.炭素率:ワラやモミガラだけや、畜糞が多すぎても発酵は遅くなります。
3.温 度:なるべく温かくなる工夫が必要です。
実際には
・石灰窒素を併用しないで下さい。
・ MIC-108を混入するときは原料全体になるべく均一に混ざるように撹袢します。
・ MIC-108混入後はビニール等で被覆します(水分、温度の保持)。
・ 切り返しは発酵初期に1〜2回行ったら、その後は切り返さないで下さい。
(MIC-108は嫌気性菌主体ですので空気のない中心部から発酵します。)
・ 堆積する山は大きく、高くします(温度が上がり易くなります)。
・ MIC-108を使用の場合約1〜2dに1袋が目安です。畜糞主体の場合とバークやおがくずが多い場合は多めに使用して下さい。
・ 有機物の特性表を見ながら出来るだけ多種な有機物を入れて下さい。
MIC-108を使うことにより
・ 堆肥化が早くなります。
・ 堆肥の原料に含まれる病原菌やセンチュウの異常増殖を抑えます。
・ 堆肥の原料に含まれる有機物を農作物が吸い易い栄養にしてくれます。
☆温度は60℃以上に上がるようにして下さい!
雑草の種・病原菌を抑え、堆積時間を短くする為には温度を60℃以上にする必要が有ります。
・ 初期水分が多くて上がらない場合、ビニールの被覆をはがし、切り返し乾燥させて下さい。
・ 水分が不足しても温度は上がりません。足りない場合は、水分調整して下さい。
・ 難分解性繊維(バーク・おがくず等)が多く温度が上がらない場合、米ぬか等の易分解性のものを補充して下さい。
※福井県福井市の堆肥作成例です。
材料:農協で作成している粉砕籾殻に尿素をかけているものもみがら約1〜2tにつき「MIC−108」(内容量10kg)を1袋使用
米ぬかも約1〜2tにつき100kg混和

出来るだけ高く積み、水分を50〜60%程度に調整します。
その後ビニールで被覆します。その後2ヶ月おきに攪拌します。

11月初旬に堆積し、6月の状況。内部まで微生物による分解が進みます。
モミガラも一部形が残るのもありますがほぼ崩れます。
ここでは、廃菌床を使った堆肥の制作方法を報告します。
★廃菌床堆肥制作方法
(1)原料混和 (廃菌床・米ぬか・ビール粕(窒素源として))
(2)水分調整
(3)温度が60〜70℃になり、その後温度が下がり始めれば水分調整し攪拌
(4)攪拌を行った後、温度が45℃を越えなければ発酵終了
(5)堆積
(6)自然乾燥し、水分量が30%以下になれば完成

(A)糖分解期
糖やアミノ酸などの易分解性物質が好気的に分解され、生育の早い糸状菌や好気細菌が主として活動し、呼吸熱によって発熱が起こります。糸状菌は40℃を超すと生活ができなくなり、次は高い温度に強い放線菌などが増殖します。
(B)繊維分解期
放線菌は糸状菌が分解できなかった繊維を分解します。この時期は温度が60℃以上になり、高温菌が働きます。高温性好気性の放線菌によってへミセルロースを分解し、セルロースをむきだしにします。このとき酸素を盛んに消費するため周囲が酸素不足となり、そこに嫌気性のセルロース分解菌の働きます。このようにして好気性菌と嫌気性菌の役割分担が成り立ち、繊維質の分解が進みます。そのため温度が下がり分解が緩慢になると分解を促進する為に再度酸素を補給する必要が有り、切り返しを行います。
(C)リグニン分解期
放線菌の食べるエサが少なくなると温度がゆっくりと下がってきます。すると放線菌によって分解されて軟らかくなった繊維組織を食べるいろいろな細菌が増えてきます。このころからリグニンの分解が始まります。この時期は繊維成分の中間分解物があり、温度も低下して他の微生物も繁殖します。
1.良い牧草を作るために
(1)牧草の窒素同化作用(窒素を使い最終的にタンパクをつくります。)
a.硝酸態窒素で吸収して体内でアンモニア態に還元され、これに葉で作られた炭水化物が反応して、アミノ酸を経てタンパクとなります。
b.アンモニア態窒素で吸収し、葉より供給される炭水化物と、根部分で反応してアミノ酸となり、地上部に移行してタンパクとなります。
(2)土壌微生物のアミノ酸合成と牧草への供給
微生物は有機物を分解してアミノ酸を作り植物に直接供給する。
2.草地酪農地帯での問題
未熟牛糞を多投すると、易分解有機物量が過剰となり、土中で硝酸化成菌が活発となり硝酸が過剰吸収されます。さらに気象条件から炭水化物の生産が抑えられ、アミノ酸からタンバク合成が阻害され、その結果牧草体内に硝酸がたまります。
3.コフナによる牛糞の改善効果
コフナにより、予め易分解有機物を分解して腐植化させます。
また、微生物によりアミノ酸合成を行い、日照不足でもタンパク源を供給させます。
4.コフナ使用方法
(1)バンクリーナーで搬出時に、堆肥1トンに対しコフナ1号(粉)15kgを1袋を添加して下さい。尚、厳寒期には朝夕各1袋施用により一層効果があります。
(2)堆積後の切り返しは、醗酵熱が下がりかけた時点で水分調整も含めて1回程度切り返して下さい。
(3)コフナ使用の完熟牛糞堆肥の草地施用で良質牧草が出来ます。